ニュージーランド南島の大自然を代表する絶景スポット「ミルフォードサウンド」。
フィヨルドのダイナミックな景観、滝、野生動物を間近に見られるクルーズ体験は、多くの旅行者にとって一生の思い出になる場所です。
しかし、クイーンズタウンからのアクセスは片道約4時間半と長く、行き方やツアー選び、費用の目安をしっかり理解しておくことが大切です。
この記事では「ミルフォードサウンドへの行き方・費用・注意点」を中心に、ツアー会社の比較や途中で立ち寄れる観光スポットも含めて詳しく解説します。
- ミルフォードサウンドへの行き方
- ツアー会社ごとの費用
- ミルフォードサウンドを訪れる際の注意点
ミルフォードサウンドについて

ミルフォードサウンドはニュージーランド南島フィヨルドランド国立公園に位置する、氷河によって削られた壮大なフィヨルド(ノルウェー語で入り江)です。
年間を通して200日以上雨が降り、年間降雨量は約6,000〜7,000mmに達するほどの多雨地域で、この雨が断崖絶壁から流れ落ちる無数の滝や苔むした原生林を生み出しています。
深い入り江に映える険しい山々の景観は世界的に有名で、「世界で最も美しい場所のひとつ」とも称されています。
また、ミルフォードサウンドはユネスコ世界自然遺産「テ・ワヒポウナム南西ニュージーランド」の一部として登録されており、その壮大な自然は世界的にも高く評価されています。
クルーズでの観光が人気で、天候に恵まれれば野生のイルカやアシカ、時にはペンギンにも出会えることも。
ニュージーランド南島を訪れるなら、外せない必見スポットです。
ミルフォードサウンドへの行き方
通常、ミルフォードサウンドへはクイーンズタウンまたはTe Anau(テ・アナウ)という街から向かうことになります。
それぞれの場所からの行き方は大きく以下の3つの方法があります
1. クイーンズタウンまたはテ・アナウから日帰りバスツアー
最も一般的な行き方は、クイーンズタウン発・Te Anau経由の日帰りバスツアーです。
多くの場合バスはクイーンズタウンを出発し、テ・アナウで一度停車します。休憩をかねて、テ・アナウから乗車する乗客を乗せ、ミルフォードサウンドへと向かいます。
大型バスや小型バスで片道約4時間半〜5時間かかり、途中でいくつかの絶景スポットに立ち寄りながら移動できます。
運転の負担がなく、道中ではバスの運転手がバスガイドのように解説してくれるので安心です。
冬季に道路が通行止めになる以外はほぼ毎日催行されます。
2. 自分で車・レンタカーを利用
レンタカーで行く方法も人気ですが、クイーンズタウンから向かう場合、往復9時間近い長距離運転になるため、ドライバーには大きな負担がかかります。
そのため、自分で運転して行く際には、クイーンズタウンよりもミルフォードサウンドに近い、テ・アナウに宿泊することをおすすめします。運転時間を片道およそ2時間程度に短縮できます。
冬季は雪道対策も必要で、チェーン規制がかかることもあります。
3. 航空便(遊覧飛行)
金銭的に余裕があり、時間を短縮したい方には、クイーンズタウンから小型飛行機やヘリコプターで向かう遊覧飛行ツアーがおすすめです。
クイーンズタウンからの飛行時間は40分前後とバスや車に比べると格段に短く、眼下に広がる南アルプスやフィヨルドの絶景を楽しめる贅沢な方法です。
ミルフォードサウンド着陸後、クルーズ船に乗り込み神秘的な大自然を眺めます。
ただし天候に大きく左右されるため、キャンセルになる可能性も考慮しましょう。
- コスパ優先・車なし
→ バスツアー - 車あり・マイペース観光
→ 自分で運転(宿泊はTe Anauがおすすめ) - 時短優先・金銭的余裕あり
→ 飛行機またはヘリでの遊覧飛行+クルーズ船
持ち物
実際の経験からミルフォードサウンドへ行く際に持って行くべきものをリストにまとめました。
絶対必要
- 雨具(レインジャケットやポンチョ)
年間を通じて雨が多い地域のため必須。船上デッキの上では滝の水しぶきでも濡れるのでジーパンより防水パンツがおすすめ - 防寒着(フリースやダウンジャケット)
夏場でも平均気温は15℃程度で、朝晩は冷え込むことがある - カメラ(スマホ)
絶景を記録に残すため - 飲み水
道中に入手できる場所が限られる&高額なことも - 昼食+軽食・スナック
昼食を事前に申し込まない場合は昼食の持参を忘れずに。船の中に売店はあるが割高。
長距離移動やツアー中の空腹対策に軽食もあると安心 - モバイルバッテリー
電波が不安定&充電できる場所が少ないため - 現金やカード
ツアー参加費や途中の休憩スポットでの買い物用
あると便利
- カメラや双眼鏡
野生動物(アシカ・イルカ・ペンギン)の観察に最適 - 防水バッグやジップロック
雨や水しぶきから貴重品や電子機器を守る - 酔い止め薬
バス・ボートクルーズの揺れが激しいことがあるため - 帽子とサングラス(日焼け止め)
特に夏季、晴れた日の紫外線や水面の反射対策に - タオル
突然の雨や水しぶきで濡れた時に便利
自分で運転する場合
ミルフォードサウンドへ自分でレンタカーを運転して向かう場合、自由度が高く自分のペースで見どころを楽しめる一方で、注意すべき点もいくつかあります。
見どころ(途中停車スポット)

クイーンズタウンからミルフォードサウンドまでの道のり特にTe Anau以降は、まさに絶景ロードトリップです。
上の地図にある14ヶ所が主なポイントで、ミラーレイク(Mirror Lakes)、モンキークリーク(Monkey Creek)、ホーマートンネル(Homer Tunnel)などの見どころが道中に点在しています。
ツアーバスと違い、レンタカーなら気に入った場所で自由に停車し、じっくり景色を堪能できるのが大きな魅力です。特に朝の時間帯は観光客が少なく、湖面に山が映る神秘的な景色を独占できることもあります。
注意点
給油
最も注意すべき点は給油です。
クイーンズタウンからミルフォードサウンドまでの間に、給油できる場所は非常に限られています。最後の給油所はTe Anau(テ・アナウ)で、そこから先はスタンドがありません。
Te Anauからミルフォードサウンドまでは片道約2時間かかるので、ガソリン残量に余裕を持って必ず満タンにしてから出発しましょう。
また、道路は山間部を通るため、冬季には雪や氷で滑りやすくなることもあり、チェーン携帯が必須です。
電波が悪い
道中は携帯電話の電波が届きにくい区間が多くあります。
特にTe Anau以降はほとんど圏外と考えておいた方がよいでしょう。
万が一のトラブルに備えて、紙の地図を用意しておくか、地図をダウンロードしておくのがおすすめです。
また、事前に天候や道路状況を確認し、出発前に家族や友人にスケジュールを共有しておくと安心です。
事前に地図をスマホにダウンロードできるアプリ「Organic Maps」がおすすめです。
荷造り
長距離運転になるため、軽食や飲み物を持参しておくと安心です。
途中の休憩スポットやカフェは数が限られており、混雑している場合も多いので、自分で準備しておくと効率よく旅ができます。
さらに、ニュージーランドの天候は変わりやすいため、防寒具やレインジャケットも必須。夏でも朝晩は冷え込むことがあるので、重ね着できる服装がおすすめです。
加えて、写真スポットが多いため、カメラやスマホの充電器、モバイルバッテリーも忘れずに持参しましょう。
- 最後の給油地はTe Anau(テ・アナウ)忘れずに給油を。
- 紙の地図を用意するか、マップを事前にダウンロード
- 長時間の運転になり、途中売店等も少ないので、着替え、軽食、飲み物等を事前に準備
ツアー会社比較
クイーンズタウン発の日帰りツアーを提供する主な会社を比較しました。
クイーンズタウン発、コーチバス+クルーズを比較しています。テ・アナウ発、クルージングのみは各社HPをご確認ください。
Real NZ
- 特徴:最大手の運航会社。大型船クルーズから小型ボートまで豊富な選択肢。
- 料金:クイーンズタウン発ツアー $234〜
- メリット:設備が充実、家族連れにも安心
- その他:クルーズのみ、飛行機ツアーも催行
Southern Discoveries
- 特徴:往路バス・復路飛行機など多様なパッケージを提供
- 料金:クイーンズタウン発 $206.10〜
- メリット:比較的安価で、大きなクルーズ船での観光
- その他:クルーズ船は大きいが多くの人が乗るため座席が確保しにくい場合も
Pure Milford
- 特徴:往復バス・クルーズのみ・航路オプションあり。大手ツアー会社
- 料金:クイーンズタウン発 $269〜
- メリット:バスツアーに船上ランチが含まれる
- その他:クルーズのみ、飛行機ツアーあり
Awesome NZ
- 特徴:リーズナブルで効率的なツアー。途中の見どころに立ち寄るプランあり。
- 料金:クイーンズタウン発ツアー $186〜(最安)
- メリット:コスパが高い、時間配分が良い
- その他:手配されるフェリーが他ツアーと合同になることがあり、座席が確保できない可能性あり
Mitre Peak Cruises
- 特徴:小型船による小規模グループクルーズが売り。断崖や滝に接近できるのが魅力。
- 料金:クイーンズタウン発 $319〜
- メリット:少人数制で催行されるため、クルーズ船の混雑を避けられ、リラックスして観光できる
- その他:クルーズのみ、飛行機ツアーあり

私は最もツアー料金の安かったAwesome NZを利用しました。
クルーズ船はSouthern Discoveriesと合同になりました。雨が強かったため船内が混雑していて、座席の確保が難しかったですが、特筆して悪い点はありませんでした。
船内売店で売られているランチパック(サンドイッチ・チーズなど)が$39とかなり高額なので、昼食を持参することをおすすめします。
比較まとめ
| ツアー会社 | 特徴 | 最低料金(NZD) (公式サイトに基づく) | 公式サイト |
|---|---|---|---|
| RealNZ | 大手で安心 プランが豊富 | $234 | RealNZ |
| Southern Discoveries | 大手ツアー会社 船上ビュフェオプションあり | $251.10 | Southern Discoveries |
| Pure Milford | ランチ付き | $265 | Pure Milford |
| AwesomeNZ | 他社に比べコスパ○ | $186 | AwesomeNZ |
| Mitre Peak Cruises | 少人数制でリラックスしたツアー | $319 | Mitre Peak Cruises |
費用の目安まとめ
行き方ごとの費用を整理しました。
| 行き方 | 費用目安(NZD) | 備考 |
|---|---|---|
| バス+クルーズツアー | $180〜$300 ※ツアー会社によって大きく異なる | 食事付きプランもあり |
| レンタカー+現地クルーズ | $100〜$200(レンタカー+ガソリン代) + $80〜$120(クルーズ代) | 駐車料金別途必要 |
| 遊覧飛行(往路バス・復路飛行機+クルーズ) | $800前後 | 天候次第で欠航あり |
| 遊覧飛行(往復フライト+クルーズ) | $650〜$700 | 最短で楽しみたい方向け |
道中の見どころスポット
ミラーレイク(Mirror Lakes)
湖面に山々が美しく反射する絶景スポット。
天候が穏やかな日には写真映え間違いなし。駐車場からすぐにアクセスできるので、ツアーバスも必ず立ち寄ります。
ノブス・フラット(Knobs Flat)
1980年代までミルフォード・サウンドへの道路(ホーマー・トンネルを含む)を建設した作業員たちがキャンプを張っていた場所です。
またこのノブズ・フラットがミルフォード・サウンド到着前最後のトイレになります。
そのため、休憩を兼ねて立ち止まることをおすすめします。
モンキークリーク(Monkey Creek)
氷河の雪解け水が流れる清流で、飲むことができるほど澄んだ水が魅力。
運が良ければケアというニュージーランド固有のオウムに出会えることもあります。
ホーマートンネル(Homer Tunnel)
ミルフォードサウンドへ向かう途中にある全長約1.2kmの山岳トンネルで、切り立った山々を抜ける唯一のルートです。建設は1930年代にたった5人によるツルハシでの掘削からはじまり、完成までに20年以上を要した歴史あるトンネルとしても知られています。
内部は照明が少なく狭いため片側交互通行で、信号で順番を待つ仕組みになっています。
トンネルを抜けると、ミルフォードサウンドへ続く壮大な渓谷や滝の景観が一気に広がり、ドライブの大きなハイライトのひとつとなります。
ザ・カズム(The Chasm)
ミルフォードサウンドへ向かう途中にある人気の立ち寄りスポットで、岩を削る滝の力強い景観が楽しめます。
そのほかの見どころとして、駐車場周辺では好奇心旺盛なニュージーランドの山のオウム「Kea(ケア)」が現れることも多く、観光客にとってちょっとしたハイライトになっています。
ただし、ケアは人懐っこい一方で車のゴム部分をかじるいたずら好きなので注意が必要です。
注意点
- 天候の変化が激しい
雨の日は滝が迫力を増しますが、道路状況やフライトキャンセルに注意。 - 移動時間が長い
日帰りの場合は朝7時頃出発、夜7〜8時帰着になるため、体力的に余裕を持つことが大切です。 - 食事の準備
道中のカフェや休憩所は数が限られるため、軽食を持参するのがおすすめ。
昼食はツアーに含まれない場合があるので事前に要確認。 - 冬季は路面凍結
レンタカーで行く場合はチェーンを必ず準備し、道路情報を確認しましょう。
まとめ
ミルフォードサウンドは、ニュージーランド旅行のハイライトとも言える絶景スポットです。
クイーンズタウンからの行き方にはツアー、レンタカー、遊覧飛行とさまざまな選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
費用や移動時間、体力、天候などを考慮して、自分に合った方法で訪れるのがポイントです。
ツアー会社を比較検討し、途中のミラーレイクやモンキークリークの立ち寄りも楽しみながら、世界遺産のフィヨルドを満喫しましょう。






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