海外の家探しは、日本の賃貸探しとは勝手が大きく異なります。
物件サイトの選び方、内見の進め方、そして入居日にやっておくべき手続き。
どれも知っているかどうかで、その後の生活の快適さが変わってきます。
この記事では、オーストラリア・カナダ・ニュージーランドでの実体験をもとに、海外の家探しを「物件探し」から「入居完了」まで、時系列で解説します。
特に見落とされがちな内見の進め方と、入居日にすべき記録については、詳しく取り上げます。
- 海外の主な家の探し方
- 頻発する詐欺の手口
- 内見チェックリスト
- 入居前にしておくべきこと
契約は「現地に着いてから」が鉄則
「ホテル代がもったいない」 「着いたらすぐに自分の家が欲しい」
と、日本にいる間に、SNSやサイトだけで物件を決めて渡航する人がいますが、これはかなりリスクの高い選択です。写真や間取り図だけでは、治安や設備の状態、周辺環境まで判断できません。
まずは短期滞在で現地入りし、自分の目で確認してから契約先を選ぶのが基本です。
- 渡航後1〜3週間は、ホステルやAirbnbまたはホームステイなど最低数週間分の短期滞在先を確保
➡︎ その間に複数の物件を内見し、比較検討する - 家賃・デポジットの支払いは、証拠が残る電子送金(銀行送金やWiseなどの送金アプリ)を使う
➡︎ 現金の手渡しは、トラブル時に「払った証明」ができないため避ける
渡航直後の支払いや、銀行口座開設までに使える電子送金・決済サービスとしてwiseがあります。
銀行と比べて格安の手数料で両替や現地通貨決済が可能です。
送金アプリは、日本国内の口座と住所がある状態で登録しておくとスムーズです。
渡航後に慌てて手続きするより、事前準備の方が確実です。

主要な物件探しサイト
海外の家探しでは、国ごとに主流のプラットフォームが異なるため、事前に押さえておくと物件探しがスムーズになります。
家探しの最強ツール「Facebook Marketplace」
いずれの国においても、部屋探しで最も利用されているプラットフォームがFacebook Marketplace です。
※日本からの利用は制限されています。
オーナーや現住人と直接Messengerで連絡が取れるため、レスポンスが早く内見予約がスムーズに進むのが最大のメリット。
一方で、利用者が多い分、詐欺物件も紛れているため、必ず現地で内見してから契約を進めましょう。
【カナダ】Craigslist、Kijiji、Jpcanada
カナダでは
などのクラシファイドサイトが一般的です。
Jpcanadaは日本人向けの情報が多く、初めての海外生活には心強い存在です。
【オーストラリア】Gumtree、Flatmates.com、日豪プレス
オーストラリアでは
といったクラシファイドサイトがありますが、Facebook Marketplaceが最も一般的です。
【ニュージーランド】Trade Me、NZ Daisuki
ニュージーランドでは
が人気で、Trade MeはFacebook Marketplaceと並んで最大手のプラットフォーム、NZ Daisukiは日本人向けに使いやすい情報源です。
巧妙化する賃貸詐欺の手口
海外の賃貸の中でも、特にFacebook MarketplaceやCraigslistのように身元確認が緩いプラットフォームでは、詐欺が横行しています。
近年は手口も巧妙化しているため、代表的なパターンを知っておく必要があります。
- 内見前にデポジットや初月家賃の送金を要求してくる
- 相場より明らかに安い物件で、応募が殺到しているように装う
- 連絡してくるアカウントの作成日が最近で、友人数が極端に少ない
- 物件検索サイトで少額の登録料を払った直後、高額な月額課金が発生する
少しでも不自然だと感じたら、送金する前に立ち止まってください。
内見までの正しい手順とチェックリスト
海外の家探しで、実は一番差がつくのがこの「内見の進め方」です。
手順を知らないまま行動すると、時間を無駄にしたり、危険な物件を見抜けなかったりします。
物件を見つける ➡︎ 内見の問い合わせ ➡︎ 内見 ➡︎ 契約・支払い ➡︎ 入居
問い合わせメールの基本
物件の広告主には、指定がなければ、電話やメッセージアプリではなく、まずメールで連絡するのが無難です。文面が残るため、後で「言った・言わない」の争いを避けられます。
- 内見可能な日時の候補(複数提示する)
- 入居希望時期と滞在予定期間
- ビザの種類(ワーキングホリデー、学生ビザなど)
- 簡単な自己紹介(仕事の有無、同居予定人数など)
返信の速さや文面の丁寧さも、そのオーナーや不動産会社の対応品質を判断する材料になります。
問い合わせメールの例
題名: Inquiry about [Property Name/Address]
Dear [Landlord’s/Agent’s Name],
I hope this message finds you well. My name is [Your Name], and I recently moved to Auckland from Japan on a working holiday visa. I am currently looking for a comfortable and convenient place to stay, and I came across your listing on [platform name].
I am very interested in the flat located at [property address] and would love the opportunity to schedule a viewing if possible. Could you please let me know your availability? I am flexible with timings on [mention dates/times].
Thank you for your time, and I look forward to hearing from you.
Best regards,
[Your Name]
内見には一人で行かない
初めての土地で、知らない相手の物件を一人で訪ねるのは避けましょう。
友人や同じ語学学校の知人と一緒に行くのが安全です。
複数人の目があることで、部屋の状態やオーナーの対応を冷静に判断しやすくなるという利点もあります。
内見時に聞くべき質問
内見に行った際には以下の質問は必ずしておきましょう。
- 家賃とボンド(デポジット)の正確な金額とその支払い方法
- 光熱費・インターネット代は家賃に含まれるか
- 契約期間と、途中解約時のルール
- シャワーや洗濯機の使用時間・回数の制限
- すでに住んでいる同居人の人数と生活スタイル
- シェアの場合、共有スペースの家具や電化製品について(冷蔵庫のスペースなど)
- 退去時の通知期限(何日前に伝える必要があるか)
物件そのもののチェックポイント
また、内見時に家の中で実際に見ておくべきポイントは以下などです。
- 水回り(水圧、お湯の出方、排水口のにおい)
- 窓やドアの鍵がしっかりかかるか
- 日当たりと、周辺の騒音
- 最寄りのスーパーや交通機関までの距離
- 部屋にすでにある傷、汚れ、破損箇所
このチェックリストは、次の章で説明する「入居日の記録」にもそのまま活用できます。
内見の段階で気になった箇所は、スマートフォンでメモや写真を残しておくと、契約後の交渉にも役立ちます。

入居日にやるべき記録が、その後を左右する
物件が決まり、契約書にサインをしたら終わり、ではありません。海外の家探しで最も重要なのが、入居日の行動です。
コンディションレポートの重要性
海外では、日本でいう敷金にあたるものとして、ボンド(デポジット)が入居時に徴収されます。
- 金額の目安:家賃1ヶ月分程度(国や地域により変動)
- 原則:退去時に全額返却される
- 例外:部屋の破損やカーペットの汚損があった場合、清掃・修繕費として一部が差し引かれる
問題は、この「例外」を悪用するオーナーが一定数いることです。もともとあった傷や汚れを、退去時になって「入居者がつけたもの」として扱い、ボンドから不当に差し引こうとするケースが後を絶ちません。
こうしたトラブルを未然に防ぐのが、コンディションレポートです。
入居時点の部屋の状態を記録し、オーナーと共有しておくことで、「もともとあった傷」を退去時に証明できるようになります。
- Facebookなどでの個人間取引は、不動産会社を介さないため、記録の作成が省略されがち
- 口頭でのやり取りだけで済ませてしまうと、退去時に「言った・言わない」の水掛け論になる
- 不動産会社を介す契約でも、レポート作成を怠るオーナーは存在する
つまり、取引の形態にかかわらず、自分自身でコンディションレポートを残す意識が必要ということです。
入居日にやるべきこと
- 部屋の隅々を写真と動画で撮影する(傷、汚れ、破損箇所も含めて)
- 撮影した映像を、日付がわかる形でオーナーにメール送信する
- 可能であれば、コンディションレポートへの署名をその場で行う
- 鍵や設備の説明を受けた内容を、簡単にメモしておく
この作業は、入居当日の30分程度で終わります。しかし、この30分の有無が、退去時に数万円〜数十万円の差を生むことがあります。

それでも起きるトラブルと、証拠があっても残る不安
ここまでの手順を踏んでいても、退去時に理不尽な請求をしてくるオーナーは一定数存在します。よくあるのが、「経年劣化」と「損傷」を意図的に混同させる手口です。
経年劣化と損傷の違い
- 経年劣化:通常の生活で自然に生じる傷みのこと。原則、テナントに原状回復義務はない
- 損傷:不注意や過失による破損のこと。テナント側の負担になり得る
また減価償却の考え方から、耐用年数を過ぎたカーペットなどは資産価値がゼロとみなされ、汚損があっても新品への交換費用を請求できないケースがあります
こうした線引きを知らないまま「オーナーに言われるがまま」支払ってしまう人が少なくありません。
テナントを守る制度の例
- オーストラリアの一部の州:テナント側から先に「ボンド全額返還」をオンライン申請できる。大家が期限内に異議申し立てをしなければ、全額が返還される
- ニュージーランド:大家はボンドを23営業日以内に公的機関へ預託する義務があり、違反すると懲罰的損害賠償が命じられることもある
- カナダ:新住所通知から一定期間内にデポジットが返還されない場合、大家はデポジットを2倍にして返さなければならない
問題は、こうした制度を知っていても、実際に対峙するのは英語を話すオーナーだという点です。
知識があっても、うまくいかない理由
- 証拠や法律の知識があっても、とっさに論理立てて英語で話すのは難しい
- 感情的なやり取りになり、冷静に主張できなくなる
- 結局、言い返せないまま妥協してしまう
つまり、「正しい知識」と「実際に交渉できる力」は、まったく別のスキルだということです。
「入居時に記録を残せていなかった」「すでにトラブルの真っ只中にいる」という方のために、実際にデポジットを取り返した際の交渉スクリプトを、noteで公開しています。
コピーしてそのまま使える文面と、経年劣化や先制申請の主張の仕方をまとめました。
まとめ:海外の家探しで押さえるべき流れ
海外の家探しは、次の流れで進めれば大きな失敗を避けられます。
- 契約は現地で内見してから決める
- 詐欺の典型パターンを事前に知っておく
- 問い合わせから内見まで、手順を踏んで慎重に進める
- 内見時のチェックリストを、入居日の記録に活用する ・入居日に必ず写真・動画で証拠を残す
この流れを押さえておけば、万が一トラブルになっても、冷静に、そして有利に対応できます。正しい知識を武器に、安心して海外生活をスタートさせてください。





Comments